【失業保険】自己都合退職と病気｜受給するための条件と手続き

自己都合退職でも、病気やけがで働くことが難しい場合、失業保険の受給要件を満たせる可能性があります。

退職理由と失業保険の関係、自己都合退職でも受給できるケース、病気による退職が特定理由離職者に該当するかどうかを解説します。

失業保険は、失業中の生活を支え、再就職を支援する制度です。

自己都合退職の場合、原則として3ヶ月の給付制限がありますが、病気などのやむを得ない理由がある場合は、特定理由離職者として扱われ、給付制限が免除されることがあります。

受給資格の緩和、給付制限期間がない、所定給付日数が長くなる場合があるといったメリットがあります。

この記事でわかること

失業保険と自己都合退職・病気

失業保険は、原則として働く意思と能力がある方が対象ですが、自己都合退職であっても病気やけがによりすぐに働くことができない場合、受給できる可能性があります。

自己都合退職と病気の場合の失業保険について、ここでは3つのポイントに絞って解説します。

退職理由と失業保険の関係性、自己都合退職でも受給できるケース、そして病気による退職が特定理由離職者に該当するかどうか、について詳しく見ていきましょう。

退職理由と失業保険の関係性

失業保険（雇用保険の基本手当）は、雇用保険の被保険者が離職した場合に、失業中の生活を心配することなく再就職できるよう支給される制度です。

項目	内容
目的	失業中の生活を支え、再就職を支援すること
受給要件	ハローワークで求職の申込みを行い、就職の意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない「失業の状態」にあること
受給期間	離職理由、年齢、被保険者期間によって異なり、90日～360日の間で決定
受給額	離職日直前6か月の賃金合計を180で割った金額（賃金日額）の約50～80％

自己都合退職でも受給できるケース

自己都合退職の場合、原則として3ヶ月の給付制限がありますが、例外として特定理由離職者に該当する場合は、給付制限が免除されることがあります。

特定理由離職者とは、やむを得ない理由で離職した方を指します。

区分	説明
特定受給資格者	解雇、倒産など会社都合で離職した人
特定理由離職者	有期雇用契約の不更新、病気やケガ、家族の介護などやむを得ない理由で離職した人
特定理由離職者のメリット	受給資格の緩和（離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上で受給可能）、給付制限期間がない、所定給付日数が長くなる場合がある

病気による退職は特定理由離職者に該当

病気やケガで退職した場合、原則として失業保険は受給できません。

しかし、医師の診断書などによって、以下の2点を証明できれば、特定理由離職者と認められる可能性があります。

必要な書類	説明
離職票	会社から発行される、退職したことを証明する書類
医師の診断書	病気やケガの状況、就業可能であることなどを証明する書類
本人確認書類	運転免許証、マイナンバーカードなど、本人であることを証明する書類
その他	ハローワークが必要と判断した書類（雇用契約書、賃金台帳など）

自己都合退職で失業保険を受給するための条件

自己都合で退職した場合でも、条件を満たせば失業保険を受給できる可能性があります。

重要なのは、単に退職したという事実だけでなく、退職理由やその後の状況が失業保険の受給要件に合致するかどうかです。

自己都合退職で失業保険を受給するためには、働く意思と能力があること、積極的に求職活動を行うこと、そして特定理由離職者に該当することが必要です。

これらの条件を満たすことで、失業中の生活を支えるための給付金を受け取ることが可能になります。

それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。

働く意思と能力があること

失業保険は、「働く意思と能力があるにもかかわらず、職につけない状態」にある人を支援する制度です。

そのため、失業保険を受給するためには、働く意思と能力があることをハローワークに示す必要があります。

働く意思があることを示すためには、ハローワークでの求職の申し込みや、求人への応募など、具体的な求職活動を行う必要があります。

働く能力があることを示すためには、健康状態やスキルなどが問われます。

もし病気やケガで働くことができない場合は、失業保険ではなく、傷病手当金などの別の制度の利用を検討する必要があります。

積極的に求職活動を行うこと

失業保険を受給するためには、積極的に求職活動を行っていることをハローワークに示す必要があります。

具体的には、ハローワークの職業相談を利用したり、求人サイトで仕事を探したり、企業に応募したりするなどの活動が求められます。

求職活動の具体的な内容や回数については、ハローワークで確認することが重要です。

ハローワークでは、個々の状況に合わせたアドバイスや支援を受けることができます。

特定理由離職者に該当すること

自己都合退職の場合、通常は給付制限があります。

しかし、特定理由離職者に該当する場合は、給付制限が免除されたり、受給期間が延長されたりするなどのメリットがあります。

特定理由離職者とは、やむを得ない理由で退職した人のことを指します。

例えば、病気やケガ、家族の介護、配偶者の転勤などが特定理由離職者として認められることがあります。

「特定理由離職者と診断書」の関連性として、病気や怪我で離職した場合、医師の診断書が必要になるケースが多いです。

医師の診断書が重要

自己都合退職後に病気で働けなくなった場合でも、医師の診断書を提出することで特定理由離職者として認められる可能性があります。

自己都合退職後に病気で働けなくなった場合は、諦めずにハローワークに相談し、必要な手続きを行うことで、失業保険を受給できる可能性があります。

まずは医師の診断を受け、ハローワークで詳細な情報を確認しましょう。

失業保険受給の手続き

失業保険を受給するためには、ハローワークでの手続き、離職理由の確認、医師の診断書の準備、受給説明会への参加が必要です。

これらの手続きをスムーズに進めるためには、事前の準備が重要です。

自己都合退職の場合、病気を理由に失業保険を受給するためには、特定理由離職者として認められる必要があります。

そのため、各手続きで必要な書類や確認事項を把握しておくことが大切です。

手続き	内容
ハローワークでの手続き	求職の申し込み、失業の認定、雇用保険被保険者証や離職票などの提出
離職理由の確認と申し立て	自己都合退職の場合、病気が理由で働けないことをハローワークに説明し、特定理由離職者として認められるよう申し立てる。診断書などの証明書類が必要。
医師の診断書の準備と提出	病気や怪我で退職した場合、医師の診断書がほぼ必須。診断書には、病名、症状、就業不能期間などが記載されている必要があり、ハローワークの指示に従って準備する。
受給説明会への参加	失業保険の受給に関する説明会に参加。受給資格や受給期間、求職活動の義務などについて説明を受ける。

失業保険の受給手続きは複雑ですが、一つずつ着実に進めることで、安心して再就職への準備を進めることができます。

ハローワークでの手続き

ハローワークでの手続きは、失業保険受給の第一歩です。

求職の申し込みを行い、失業状態にあることを認定してもらう必要があります。

ハローワークでは、雇用保険被保険者証や離職票、本人確認書類などの提出が求められます。

これらの書類は、事前に準備しておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。

離職理由の確認と申し立て

離職理由の確認は、失業保険の受給可否や受給期間に大きく影響します。

自己都合退職の場合、原則として給付制限がありますが、病気が理由で退職した場合は、特定理由離職者として扱われる可能性があります。

特定理由離職者として認められるためには、ハローワークにその旨を申し立てる必要があります。

この際、医師の診断書やその他の証明書類が必要となる場合があります。

医師の診断書の準備と提出

病気や怪我で退職した場合、医師の診断書はほぼ必須です。

診断書には、病名、症状、就業不能期間などが記載されている必要があります。

ハローワークによっては、診断書の書式を指定している場合があります。

事前にハローワークに確認し、適切な診断書を準備しましょう。

受給説明会への参加

受給説明会では、失業保険の受給に関する重要な情報が提供されます。

受給資格や受給期間、求職活動の義務などについて詳しく説明を受けましょう。

説明会への参加は、原則として必須です。

やむを得ない理由で参加できない場合は、ハローワークに相談してください。

失業保険受給額と期間

失業保険の受給額と期間は、退職前の賃金や雇用保険の加入期間によって大きく変動します。

受給額を正しく理解し、受給期間を最大限に活用することが重要です。

失業保険の受給額は、退職前の賃金に基づいて計算されます。

受給期間は、雇用保険の加入期間や離職理由によって異なります。

各見出しでは、これらの要素について詳しく解説します。

受給額の計算方法

失業保険の受給額は、基本手当日額として計算され、これは原則として離職日直前の6ヶ月間の賃金合計を180で割った金額（賃金日額）の約50～80％に相当します。

ただし、年齢区分ごとに上限額が定められており、令和6年8月1日現在、30歳未満では7,065円、30歳以上45歳未満では7,845円、45歳以上60歳未満では8,635円、60歳以上65歳未満では7,420円が上限となっています。

受給額は、個々の賃金や年齢によって異なるため、正確な金額を知るためにはハローワークでの確認が不可欠です。

受給期間の決定要因

失業保険の受給期間は、離職時の年齢、雇用保険の被保険者期間、そして離職理由によって決定されます。

自己都合退職の場合、給付日数は一般的に90日から150日の範囲内ですが、会社都合退職（特定受給資格者）や特定理由離職者の場合は、給付日数が手厚くなることがあります。

雇用保険の加入期間が長いほど、また、離職理由が会社都合であるほど、受給期間が長くなる傾向にあります。

決定要因	詳細
離職時の年齢	年齢が高いほど、受給期間が長くなる傾向がある
被保険者期間	雇用保険の加入期間が長いほど、受給期間が長くなる
離職理由	会社都合退職や特定理由離職者の場合、自己都合退職よりも受給期間が長くなる

給付制限の有無と期間

自己都合退職の場合、通常は給付制限があり、失業保険の受給開始までに一定期間（通常1ヶ月）の待機期間が設けられます。

しかし、病気やケガなどのやむを得ない理由で退職し、特定理由離職者として認められた場合、この給付制限が免除されることがあります。

特定理由離職者として認められるためには、医師の診断書など、離職理由を証明する書類の提出が必要です。

受給期間延長の可能性

失業保険の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、病気、ケガ、妊娠、出産、育児などの理由で30日以上働くことができない場合、受給期間を最長3年まで延長することができます。

受給期間の延長を希望する場合は、ハローワークに申請し、医師の診断書や母子手帳の写しなど、理由を証明する書類を提出する必要があります。

まずはハローワークに相談

自己都合で退職した場合でも、病気が理由で働くことができない場合は、失業保険を受給できる可能性があります。

まずはハローワークに相談して、自身の状況を詳しく説明することが重要です。

ハローワークでは、必要な手続きや受給資格について、個別の状況に合わせたアドバイスを受けることができます。

以下に、ハローワークで相談する際のポイントをまとめました。

病状と退職理由を詳細に説明

ハローワークの担当者に、自身の病状と退職に至った経緯を具体的に説明しましょう。

詳細な説明は、特定理由離職者として認められるかどうかの判断に影響します。

必要な書類と手続きを確認

失業保険の受給には、さまざまな書類が必要です。

ハローワークで、必要な書類や手続きについて確認し、早めに準備を進めましょう。

必要な書類は、離職票、雇用保険被保険者証、本人確認書類などがあります。

疑問点や不安点を解消

失業保険に関する疑問や不安点は、ハローワークの担当者に遠慮なく質問しましょう。

受給資格や給付額、受給期間など、気になることはすべて確認しておくことが大切です。

適切なアドバイスを受ける

ハローワークでは、失業保険に関するアドバイスだけでなく、就職支援や職業訓練など、再就職に向けたサポートも提供しています。

自身の状況に合わせて、適切なアドバイスを受け、積極的に活用しましょう。

よくある質問（FAQ）

自己都合退職でも失業保険はもらえますか？

自己都合で退職した場合でも、病気やケガなどやむを得ない理由があれば、特定理由離職者として失業保険を受給できる可能性があります。

まずはハローワークに相談しましょう。

失業保険を受給するための条件はありますか？

働く意思と能力があること、積極的に求職活動を行うこと、そして特定理由離職者に該当することが主な条件です。

特定理由離職者とはどんな人のことですか？

病気やケガ、家族の介護、配偶者の転勤など、やむを得ない理由で退職した方を指します。

病気で退職した場合、診断書は必要ですか？

はい、病気やケガで退職した場合、特定理由離職者として認められるために医師の診断書が必要になることが多いです。

失業保険の受給額や期間はどのように決まりますか？

退職前の賃金や雇用保険の加入期間、離職理由によって変動します。

ハローワークで確認することをおすすめします。

ハローワークではどんな相談ができますか？

失業保険の手続き、受給資格、給付額、求職活動など、再就職に関する様々な相談が可能です。

まとめ

自己都合退職でも、病気やけがで働くことが難しい場合は失業保険を受給できる可能性があります。

まずはハローワークに相談して、必要な手続きや支援について確認してみましょう。