70歳以上で退職された方で、雇用保険に加入していた期間がある場合、高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
これは、国が高齢者の再就職を支援するために設けた制度です。
ご自身の状況に合わせて、高年齢求職者給付金の受給を検討してみましょう。
高年齢求職者給付金は、高齢者の雇用を促進し、生活の安定を図ることを目的としています。
受給には年齢や雇用保険の加入期間などの条件があり、手続きを行うことで給付金を受け取ることができます。
本記事では、70歳以上の方が高年齢求職者給付金を受け取るための条件、手続き、給付額について詳しく解説します。
この記事でわかること
- 受給条件
- 手続きの流れ
- 給付額の計算方法
70歳以上の雇用保険|高年齢求職者給付金とは

70歳以上の方が雇用保険に加入していた場合、退職後に高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
これは、高齢者の再就職を支援するための国の制度です。
高年齢求職者給付金について、以下の内容を解説します。
ぜひ、ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
- 70歳以上の退職と雇用保険の関係
- 高年齢求職者給付金の制度概要
70歳以上の退職と雇用保険の関係
70歳以上の方が退職した場合でも、雇用保険に加入していた期間があれば、高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
雇用保険は、65歳以上の方でも加入できる制度であり、70歳以上の方も雇用保険の適用事業所で働いている場合は、雇用保険に加入することができます。

70歳を超えても雇用保険に加入できるって本当?

はい、70歳以上でも雇用保険の加入条件を満たせば加入できます。
高年齢求職者給付金の制度概要
高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険加入者が失業した場合に、再就職を支援するために支給される給付金です。
高年齢者の雇用を促進し、生活の安定を図ることを目的としています。
項目 | 内容 |
---|---|
支給対象者 | 65歳以上の雇用保険加入者 |
支給要件 | 離職日以前1年間に、被保険者期間が6ヶ月以上あること、働く意思と能力があること |
支給額 | 基本手当日額の30日分または50日分(被保険者期間による) |
申請先 | ハローワーク |
他の制度との関係 | 老齢年金との併給が可能 |
高年齢求職者給付金は、高齢者の再就職を支援する大切な制度です。
受給資格や手続きについて理解し、積極的に活用を検討しましょう。
70歳以上で高年齢求職者給付金を受け取る条件
70歳以上の方が高年齢求職者給付金を受け取るには、年齢、雇用保険の加入期間、失業状態という3つの条件を満たす必要があります。
これらの条件をすべて満たすことで、給付金を受け取る資格が得られます。
高年齢求職者給付金を受け取るための条件について、年齢、雇用保険加入期間、失業状態の3つの観点から詳しく解説していきます。
各見出しで条件の詳細を確認しましょう。
65歳以上である必要性
高年齢求職者給付金は、65歳以上の求職者を対象とした給付金です。
65歳に満たない場合は、高年齢求職者給付金ではなく、通常の雇用保険の失業給付(基本手当)の対象となります。
65歳以上であることは、高年齢求職者給付金を受け取るための大前提です。
65歳を迎えた誕生日の翌日以降に離職した場合に、受給資格が発生します。

64歳で退職した場合、高年齢求職者給付金はもらえないの?

残念ながら、64歳で退職された場合は、高年齢求職者給付金の対象にはなりません。
雇用保険加入期間の条件と計算方法
高年齢求職者給付金を受け取るためには、離職日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上必要です。
この被保険者期間は、雇用保険料が実際に支払われた期間を指します。
被保険者期間の計算方法ですが、原則として、賃金支払いの基礎日数が11日以上ある月を1ヶ月として計算します。
ただし、令和2年8月1日以降の離職の場合、賃金支払いの基礎となった時間が80時間以上の月も1ヶ月として計算できます。
項目 | 内容 |
---|---|
被保険者期間の計算対象 | 離職日以前1年間 |
期間の数え方 | 賃金支払いの基礎日数が11日以上の月、または賃金支払いの基礎となった時間が80時間以上の月を1ヶ月として計算 |
必要な加入期間 | 6ヶ月以上 |
受給における失業状態の定義
高年齢求職者給付金を受給するためには、単に離職しただけでなく、「失業状態」にあると認められる必要があります。
失業状態とは、働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、職業に就けない状態を指します。
具体的には、ハローワークに求職の申し込みを行い、求職活動の実績を示す必要があります。
以下のような場合は、失業状態とは認められません。
- 家事に専念している
- 学業に専念している
- 自営を開始、または準備に専念している
- 次の就職が決まっている
- 雇用保険の被保険者とならないような短時間就労のみを希望している
- 自分の名義で事業を営んでいる
- 会社の役員などに就任している
- 就職・就労中である
- パート、アルバイトをしている
失業状態にあるかどうかは、ハローワークが個々の状況を総合的に判断します。
高年齢求職者給付金の手続きと必要書類
高年齢求職者給付金を受け取るためには、ハローワークでの求職申し込みが不可欠です。
手続きをスムーズに進めるために、必要な書類を事前に準備しておくことが重要になります。
ここでは、ハローワークでの求職申し込み手順、受給資格決定後の流れ、そして給付金の受け取り方法と注意点について解説します。
高年齢求職者給付金の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ハローワークでの求職申し込み手順
ハローワークで求職の申し込みを行うことは、高年齢求職者給付金を受け取るための第一歩です。
必要な持ち物を事前に確認し、スムーズに手続きを進めましょう。

求職申し込みって難しそう…何から始めたら良いのかしら?

ハローワークの窓口で親切に教えてもらえますよ。まずは必要な書類を揃えて、相談してみてください。
手順 | 内容 |
---|---|
1. 必要な持ち物を準備 | 離職票、マイナンバーカード、写真、本人名義の預金通帳など |
2. ハローワークへ行く | 住所を管轄するハローワークへ |
3. 求職の申し込み | 窓口で求職申込書を記入 |
4. 受付票を受け取る | 受付票とハローワークカードを受け取る |
5. 雇用保険の窓口へ | 雇用保険の窓口で手続き |
受給資格決定後の流れ
受給資格が決定した後も、給付金を受け取るためにはいくつかのステップを踏む必要があります。
ハローワークからの指示に従い、確実に手続きを進めることが大切です。
手順 | 内容 |
---|---|
1. 待期期間 | 離職票の提出と求職の申し込みから7日間 |
2. 受給説明会 | 受給に関する説明会に参加 |
3. 失業認定 | 指定された日にハローワークへ行き、失業状態の認定を受ける |
4. 給付金の振り込み | 認定後、通常1週間程度で指定口座に振り込まれる |
給付金の受け取り方法と注意点
高年齢求職者給付金は、原則として指定した金融機関の口座に振り込まれます。
振り込みの時期や金額を確認し、不明な点があればハローワークに問い合わせましょう。
また、受給期間中には、再就職に関する支援やアドバイスを受けることもできます。
項目 | 内容 |
---|---|
振り込み時期 | 失業認定後、通常1週間程度 |
振り込み口座 | 本人名義の預金口座 |
注意点 | 自己都合退職の場合、給付制限がある |
その他 | 受給期間中に再就職が決まった場合、再就職手当が支給されることがある |
高年齢求職者給付金の給付額と計算例
高年齢求職者給付金は、65歳以上の離職者が再就職を目指すための大切な支援制度です。
給付額を理解することは、退職後の生活設計を立てる上で非常に重要になります。
高年齢求職者給付金の給付額は、基本手当日額と支給日数によって決まります。
それぞれの算出方法や、実際のシミュレーション例を以下で強調して解説していきます。
基本手当日額の算出方法
基本手当日額は、高年齢求職者給付金の計算における基礎となる金額です。
基本手当日額を知ることは、自分がどれくらいの給付金を受け取れるのかを把握する上で非常に重要です。
基本手当日額は、原則として以下の計算式で算出されます。
- 賃金日額: 退職前6ヶ月間の賃金合計を180で割った金額
- 基本手当日額: 賃金日額に給付率(45~80%)を乗じた金額

基本手当日額は年齢や賃金によって上限額が定められていることを覚えておきましょう

基本手当日額の上限額は、令和5年8月1日時点で65歳以上69歳未満は6,964円、70歳以上は6,877円です。
支給日数と被保険者期間の関係
支給日数は、高年齢求職者給付金が何日分支給されるかを示す重要な指標です。
支給日数によって、受け取れる給付金の総額が大きく変動します。
支給日数は、雇用保険の被保険者であった期間によって異なり、以下の通りです。
被保険者であった期間 | 支給日数 |
---|---|
1年以上 | 50日分 |
1年未満 | 30日分 |

被保険者期間が1年以上あるかないかで、支給日数に大きな差が出ることを理解しておきましょう

被保険者期間が1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分の給付金が支給されます。
給付額シミュレーション例
実際に高年齢求職者給付金がいくらもらえるのか、具体的なシミュレーション例を見てみましょう。
シミュレーションを通して、給付額のイメージを掴むことが大切です。
以下に、いくつかのケースを想定したシミュレーション例をご紹介します。
年齢 | 退職前6ヶ月間の賃金合計 | 被保険者期間 | 基本手当日額 | 支給日数 | 給付額 |
---|---|---|---|---|---|
66歳 | 180万円 | 1年2ヶ月 | 5,000円 | 50日 | 25万円 |
70歳 | 90万円 | 8ヶ月 | 2,500円 | 30日 | 7.5万円 |
72歳 | 270万円 | 3年 | 6,877円 | 50日 | 34万3,850円 |

給付額は、退職前の賃金や被保険者期間によって大きく変動することを理解しておきましょう

ご自身の状況に照らし合わせて、大まかな給付額を予測してみてください。
これらの情報を参考に、ご自身の状況に合わせた給付額を予測し、退職後の生活設計に役立ててください。
70歳以上の雇用保険受給|ハローワークで相談を
70歳を超えても雇用保険に加入していた方が退職した場合、高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
ハローワークでは、個別の状況に応じたアドバイスや手続きのサポートが提供されるため、積極的に相談を検討することが重要です。
申請期限と注意点
高年齢求職者給付金の申請には期限があり、原則として離職日の翌日から1年以内です。
期限を過ぎると受給資格を失うため、早めに手続きを開始することが重要です。
注意点 | 内容 |
---|---|
申請期限 | 離職日の翌日から1年以内 |
提出書類の準備 | 離職票、マイナンバーカード、写真、本人名義の預金通帳など、必要な書類を事前に確認し準備する |
ハローワークの開庁時間 | 月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分まで(祝日、年末年始を除く) |
自己都合退職の場合の給付制限 | 自己都合退職の場合、待機期間(7日間)の後、さらに給付制限期間(1~3ヶ月)が設けられることがある |
他の給付金との関係 | 老齢年金との併給は可能だが、他の失業給付との調整が必要となる場合がある |
ハローワークへの相談を推奨する理由
ハローワークでは、雇用保険や高年齢求職者給付金に関する専門的な知識を持つ職員が、個別の状況に合わせて相談に応じてくれます。
受給資格の確認、必要な手続き、提出書類の準備など、一連の流れをサポートしてもらうことで、スムーズに給付金を受け取ることが可能です。

手続きが複雑で、何から始めたら良いか不安です。

ハローワークでは、受給資格の確認から手続きのサポートまで、一貫して対応してもらえます。
よくある質問(FAQ)
- 70歳以上でも高年齢求職者給付金を受け取れますか?
-
はい、70歳以上の方でも、雇用保険の加入条件を満たしていれば高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
- 高年齢求職者給付金を受け取るには、どのくらいの期間雇用保険に加入している必要がありますか?
-
離職日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上必要です。
- 高年齢求職者給付金の申請に必要な書類は何ですか?
-
離職票、マイナンバーカード、写真、本人名義の預金通帳などが必要です。
- 高年齢求職者給付金は、いつもらえますか?
-
ハローワークで受給資格が決定した後、通常1週間程度で指定口座に振り込まれます。
- 高年齢求職者給付金はいくらもらえますか?
-
基本手当日額に、被保険者期間に応じた支給日数をかけた金額が支給されます。
1年以上の被保険者期間がある場合は50日分、1年未満の場合は30日分です。
- 高年齢求職者給付金の申請期限はありますか?
-
原則として、離職日の翌日から1年以内に申請する必要があります。
まとめ
70歳以上で雇用保険に加入していた方が退職した場合、高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
この給付金は、高齢者の再就職を支援するための国の制度です。
- 高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険加入者が失業した場合に支給される
- 受給には年齢や雇用保険の加入期間などの条件がある
- 給付額は、基本手当日額と支給日数によって決まる
- 申請期限は原則として離職日の翌日から1年以内
まずはハローワークに相談し、ご自身の状況で受給資格があるか確認してみましょう。
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