自己都合で退職したものの、会社都合退職への変更を検討していませんか? 会社都合退職として扱われると、失業保険の受給条件などで有利になるケースがあります。
本記事では、自己都合退職から会社都合退職への変更について、変更の可能性や具体的な手続きを詳しく解説します。
会社都合退職となるケースや、必要な証拠、ハローワークへの相談方法まで、あなたの疑問を解消できるようまとめました。

自己都合退職したけど、やっぱり会社都合にできるか知りたい!

まずは、ご自身の退職理由が会社都合に該当するかどうかを確認しましょう。
この記事でわかること
- 会社都合退職の定義
- 変更するための手順
- ハローワークへの相談
- 必要な証拠
自己都合退職、会社都合に変更できる?変更の可能性

自己都合退職を選択した後でも、状況によっては会社都合退職への変更が可能です。
会社都合退職として扱われることで、失業保険の受給条件や期間が有利になる場合があります。
自己都合退職と会社都合退職の違いや、会社都合退職として扱われるケースについて解説します。
これらの情報を参考に、ご自身の状況と照らし合わせて、会社都合退職への変更が可能かどうか検討しましょう。
退職理由と会社都合退職の定義
会社都合退職とは、会社の倒産やリストラなど、従業員の意に反する理由で退職せざるを得ない状況を指します。
会社都合退職は、失業手当の受給において、自己都合退職よりも優遇される点が大きな特徴です。
会社都合退職として認められる主なケースは以下のとおりです。
理由 | 詳細 |
---|---|
会社の倒産 | 会社が経営破綻し、事業を継続できなくなった場合 |
希望退職制度の利用 | 会社が人員削減のために希望退職者を募り、それに応じた場合(ただし、恒常的な早期退職制度は除く) |
リストラ、解雇 | 会社の業績悪化などを理由に、従業員が解雇された場合(ただし、従業員の重大な規律違反による解雇は除く) |
賃金の不当な未払い | 会社が従業員に支払うべき賃金を、正当な理由なく支払わない場合(一般的には、賃金の3分の1を超える額が2ヶ月以上継続して未払いの場合) |
労働条件の大幅な変更 | 会社が、採用時に提示した労働条件(賃金、労働時間、勤務地、職種など)を、従業員の同意なく大幅に変更した場合 |
ハラスメント | 会社内で、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメント行為が行われ、それが原因で従業員が退職せざるを得なくなった場合 |

自己都合で退職したけど、やっぱり会社都合にできないかな?

会社都合退職として認められるかどうかは、個別の状況によって判断が異なります。まずは、ご自身の退職理由が会社都合に該当するかどうかを確認しましょう。
自己都合退職と会社都合退職の違い
自己都合退職と会社都合退職は、失業保険の受給条件や期間に大きな違いがあります。
会社都合退職の方が、失業保険の受給において優遇されるため、退職後の生活設計に大きく影響します。
自己都合退職と会社都合退職の主な違いは以下のとおりです。
区分 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
---|---|---|
退職理由 | 従業員自身の意思による退職(転職、結婚、病気療養、家庭の事情など) | 会社の都合による退職(倒産、リストラ、解雇、賃金未払い、労働条件の変更など) |
失業保険 | 受給資格を得るためには、離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上必要。受給開始までに待機期間(7日間)に加え、2ヶ月間の給付制限がある場合がある。 | 受給資格を得るためには、離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上必要。待機期間(7日間)のみで、給付制限はない。 |
給付日数 | 被保険者期間や年齢によって異なるが、一般的に会社都合退職よりも給付日数が少ない。 | 被保険者期間や年齢によって異なるが、一般的に自己都合退職よりも給付日数が多い。 |
再就職 | 転職活動において、企業によっては不利になる場合がある。 | 退職理由が会社にあるため、一般的に転職活動において不利にはならない。ただし、退職理由を明確に説明する必要がある。 |

自己都合退職と会社都合退職で、こんなに違いがあるんだ!

ご自身の退職理由がどちらに該当するかを正確に把握することが、今後の手続きを進める上で重要になります。
会社都合退職として扱われるケース
自己都合退職として退職した場合でも、以下のケースに該当する場合は、会社都合退職として扱われる可能性があります。
これらのケースに該当する場合は、ハローワークに相談することで、会社都合退職として認められる可能性があります。
ケース | 詳細 |
---|---|
会社の業績悪化による人員整理 | 会社の業績が著しく悪化し、人員削減のために退職勧奨を受け、それに応じた場合。 |
労働条件の大幅な変更(給与の減額、勤務地の変更など) | 会社が一方的に給与を減額したり、遠隔地への転勤を命じたりした場合で、従業員がそれを受け入れられず退職した場合。ただし、就業規則に定められた範囲内での変更は、会社都合退職とはみなされない場合がある。 |
上司や同僚からのハラスメント | 上司や同僚から、継続的にパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受け、それが原因で精神的に追い詰められ退職した場合。この場合、ハラスメントの事実を証明できる証拠(録音データ、メール、診断書など)が必要となる。 |
安全配慮義務違反 | 会社が従業員の安全に配慮する義務を怠り、それが原因で従業員が心身に不調をきたし退職した場合。例えば、長時間労働や過重な業務による過労死やうつ病などが該当する。 |
採用時の労働条件と実際の労働条件が著しく異なる場合(「求人詐欺」とも呼ばれる) | 会社が採用時に提示した給与、労働時間、職種などの労働条件と、実際に働き始めてからの労働条件が著しく異なる場合。例えば、「月給30万円」と提示されていたのに、実際には「月給20万円+残業代」だった場合や、「営業職」として採用されたのに、実際には「テレアポ業務」しかさせてもらえなかった場合などが該当する。 |
給与の遅延や未払い | 会社が従業員に支払うべき給与を、正当な理由なく遅延したり、一部または全部を支払わなかったりした場合。 |
過去には、B社で給与の未払いが2ヶ月以上続いたことが原因で退職したCさんが、ハローワークに相談した結果、会社都合退職として認められた事例があります。

もし、自分の状況が会社都合退職に該当するかもしれないと思ったら…?

まずは、ハローワークに相談してみることをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応策を見つけることができるでしょう。
自己都合退職から会社都合退職への変更手順
自己都合退職から会社都合退職への変更は、失業保険の受給条件に大きく影響するため、変更できるかどうかは重要な問題です。
ここでは、自己都合退職から会社都合退職への変更手順について解説します。
具体的には、ハローワークへの相談、証拠収集の重要性、会社との交渉について説明します。
ハローワークへの相談
ハローワークは、雇用に関する相談窓口であり、失業保険の手続きや求職活動の支援を行っています。
自己都合退職後に会社都合退職への変更を検討する場合、まずはハローワークに相談することが重要です。
ハローワークでは、個別の状況に応じて、会社都合退職として認められる可能性があるかどうかや、必要な手続きについてアドバイスを受けることができます。

自己都合退職から会社都合退職への変更は、ハローワークに相談すれば良いの?

まずはハローワークに相談して、状況を詳しく説明することから始めましょう。
証拠収集の重要性
自己都合退職から会社都合退職への変更を成功させるためには、客観的な証拠が不可欠です。
例えば、以下のような証拠が考えられます。
証拠の種類 | 具体例 |
---|---|
会社の経営状況に関するもの | 会社の業績悪化を示す資料、倒産やリストラの通告書など |
退職勧奨に関するもの | 退職勧奨の記録、上司との面談記録、退職合意書など |
労働条件に関するもの | 雇用契約書、給与明細、タイムカード、労働条件通知書など。採用条件と実際の労働条件が異なることを示す証拠 |
ハラスメントに関するもの | パワハラやセクハラの証拠、同僚の証言、医師の診断書など |
これらの証拠を集め、ハローワークや会社との交渉に臨むことで、自己都合退職から会社都合退職への変更の可能性を高めることができます。
会社との交渉
ハローワークへの相談と並行して、会社との交渉も重要なステップです。
会社側は、会社都合退職を認めることで、助成金が受けられなくなるなどのデメリットがあるため、自己都合退職として処理しようとする傾向があります。
しかし、正当な理由がある場合は、会社に会社都合退職への変更を求めることが可能です。

会社は、自己都合退職から会社都合退職への変更に応じてくれるの?

会社と交渉して、会社都合退職への変更を求めることは可能です。
会社都合退職をハローワークに相談する
会社都合退職についてハローワークに相談することは、自身の状況を客観的に評価し、適切な支援を受けるために非常に重要です。
ハローワークは、雇用保険や求職に関する専門的な知識を持っており、個別の状況に応じたアドバイスや情報提供を行ってくれます。
ここでは、ハローワークへの相談によって得られるメリットや手続きの流れ、相談時の注意点について解説します。
これらの情報を参考に、会社都合退職に関する疑問や不安を解消し、再就職に向けて有利に進めましょう。
ハローワークへの相談のメリット
ハローワークに相談することで、会社都合退職として認められるかどうかの判断や、その後の手続きに関する具体的なアドバイスを受けられます。
また、失業保険の受給に関する疑問や、再就職支援制度の利用についても相談可能です。
項目 | 内容 |
---|---|
会社都合退職の判断 | 自身の退職理由が会社都合に該当するかどうか、ハローワークの専門家が客観的に判断します。 |
失業保険に関するアドバイス | 失業保険の受給資格や受給期間、手続きの流れなどについて、詳細な説明を受けられます。 |
再就職支援制度の利用 | ハローワークが提供する職業訓練やセミナーなど、再就職に役立つ支援制度の情報が得られます。 |
精神的なサポート | 退職後の不安や悩みを聞いてもらい、精神的なサポートを受けられます。 |
ハローワークでの手続きの流れ
ハローワークでの相談から手続き完了までの流れは、事前の準備と手続きをスムーズに進めるために重要です。
- 事前準備:
- 雇用保険被保険者証、離職票、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)、印鑑を持参する
- ハローワークへ行く:
- 管轄のハローワークへ行き、求職の申し込みを行う
- 相談窓口:
- 相談窓口で会社都合退職について相談する
- 離職理由の確認:
- 離職理由についてハローワークの担当者から詳しくヒアリングを受ける
- 必要書類の提出:
- 会社都合退職を証明するための書類(退職勧奨通知、解雇通知、賃金未払いに関する証拠など)を提出する
- 審査:
- ハローワークが提出された書類やヒアリング内容をもとに、会社都合退職に該当するかどうかを審査する
- 結果の通知:
- 審査結果が通知される(通常1週間から1ヶ月程度)

自己都合退職から会社都合退職への変更は難しいのかな?

自己都合退職から会社都合退職への変更は、証拠や状況によって可能な場合があります。まずはハローワークに相談してみましょう。
相談時の注意点
ハローワークに相談する際には、事実を正確に伝えることと、必要な書類を準備することが大切です。
また、相談内容を事前に整理しておくと、スムーズな相談ができます。
注意点 | 詳細 |
---|---|
事実を正確に伝える | 退職に至った経緯や理由について、事実を正確に伝えましょう。 |
必要な書類を準備する | 雇用保険被保険者証、離職票、本人確認書類、印鑑など、必要な書類を事前に確認し、準備しておきましょう。 |
相談内容を事前に整理する | 相談したい内容や疑問点を事前に整理しておくと、相談時間を有効に使えます。 |
会社の状況を客観的に説明する | 会社の経営状況や退職勧奨の有無など、客観的な情報を伝えるようにしましょう。 |
ハローワークへの相談は、会社都合退職に関する情報を得る上で非常に有効です。
事前にしっかりと準備をして、疑問や不安を解消し、スムーズな再就職活動につなげましょう。
よくある質問(FAQ)
- 自己都合退職後に会社都合退職への変更は可能ですか?
-
はい、状況によっては可能です。
会社都合退職として扱われることで、失業保険の受給条件や期間が有利になる場合があります。
- どのような場合に会社都合退職として扱われる可能性がありますか?
-
会社の業績悪化による人員整理、労働条件の大幅な変更、ハラスメント、安全配慮義務違反、採用時の労働条件との著しい相違、給与の遅延や未払いなどのケースが考えられます。
- 会社都合退職への変更のために、まず何をすべきですか?
-
まずはハローワークに相談し、ご自身の状況を詳しく説明することから始めましょう。
専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応策を見つけることができます。
- 会社都合退職への変更を希望する場合、どのような証拠が必要になりますか?
-
会社の経営状況に関する資料、退職勧奨の記録、労働条件に関する書類、ハラスメントに関する証拠などが考えられます。
客観的な証拠を集めることが重要です。
- 会社との交渉はどのように進めれば良いですか?
-
ハローワークへの相談と並行して、会社と交渉することも重要です。
正当な理由がある場合は、会社に会社都合退職への変更を求めることが可能です。
- ハローワークに相談する際に、どのような準備が必要ですか?
-
雇用保険被保険者証、離職票、本人確認書類、印鑑などを持参しましょう。
また、相談内容を事前に整理しておくと、スムーズな相談ができます。
まとめ
自己都合退職から会社都合退職への変更は、状況により可能です。
会社都合退職として扱われると、失業保険の受給条件が有利になる点が重要です。
- 会社都合退職となるケースの確認
- ハローワークへの相談
- 会社との交渉
まずはハローワークへ相談し、ご自身の状況を詳しく説明することで、次の行動が見えてくるでしょう。
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