退職後の健康保険は、ご自身の状況に合わせて最適な選択をすることが大切です。
無保険状態を避けるためにも、国民健康保険、任意継続、家族の扶養という3つの選択肢から、ご自身に合ったものを選びましょう。
各選択肢の手続きや保険料、注意点を理解することで、スムーズな切り替えが可能です。
退職後の健康保険選びは、将来の生活設計に大きく影響します。
それぞれの制度には加入条件や保険料、メリット・デメリットがあり、事前にしっかりと比較検討することが重要です。
本記事では、3つの選択肢について詳しく解説し、手続きの流れや注意点、よくある質問をまとめました。

どの健康保険を選べばいいのか迷うな…

ご自身の状況やライフプランに合わせて、最適な選択肢を見つけましょう。
この記事でわかること
- 健康保険の3つの選択肢
- 各選択肢の加入条件・手続き
- 保険料の目安と計算方法
- 選択のヒントと注意点
退職後の健康保険:切り替えガイド|手続き・保険料・注意点

退職後の健康保険は、人生設計に大きく影響を与える重要な要素です。
無保険状態を避けるためには、退職後の状況に合わせた健康保険への加入が不可欠です。
退職後の健康保険には、国民健康保険、任意継続、家族の扶養という3つの選択肢があります。
各選択肢の手続き、保険料、注意点を把握することで、最適な選択ができます。
本記事では、これらの選択肢について詳細に解説し、スムーズな切り替えを支援します。
退職後の健康保険切り替え:3つの選択肢
退職後の健康保険の選択肢は、主に3つあります。
それぞれの選択肢は加入条件、手続き、保険料が異なり、個々の状況に合わせて最適なものを選ぶ必要があります。
選択肢 | 加入条件 | 手続き | 保険料 |
---|---|---|---|
国民健康保険 | 他の健康保険に加入できない場合 | 退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で手続き | 前年の所得や家族構成によって変動 |
任意継続 | 退職日までに2ヶ月以上会社の健康保険に加入していた場合 | 退職日の翌日から20日以内に健康保険組合へ申請 | 在職時の約2倍 |
家族の扶養に入る | 年収130万円未満かつ、家族の年収の半分未満であること | 家族が加入している健康保険組合に申請 | 自己負担なし |
スムーズな手続きと安心のための情報
健康保険の切り替え手続きは、期限や必要書類など、注意すべき点がいくつか存在します。
手続きが遅れたり、書類に不備があったりすると、医療費を全額自己負担しなければならない事態も起こりえます。
切り替え手続きをスムーズに行うためには、事前に必要な情報を収集し、計画的に行動することが重要です。
各選択肢の詳細な手続き方法、注意点、FAQを参考に、自身の状況に最適な健康保険を選びましょう。
国民健康保険への切り替え:加入条件・手続き・保険料
国民健康保険は、会社を退職して社会保険を喪失した場合や、自営業の方が加入する医療保険制度です。
日本国内に住所があり、他の健康保険に加入していない方が対象です。
国民健康保険への切り替えについて、加入条件、手続き、保険料、注意点を解説します。
加入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
加入条件:他の健康保険に加入できない場合
国民健康保険への加入条件は、日本国内に住所を有し、かつ、他の健康保険(会社の健康保険や健康保険組合など)に加入していないことです。
生活保護を受けている方は、国民健康保険に加入できません。

国民健康保険ってどんな人が加入できるの?

他の健康保険に加入している場合は、国民健康保険に加入できません。
手続き:14日以内に市区町村窓口で
国民健康保険への加入手続きは、退職日の翌日から14日以内にお住まいの市区町村の窓口で行う必要があります。
期限を過ぎると、保険料を遡って支払う必要が生じる可能性があるため、注意が必要です。
必要書類:健康保険資格喪失証明書など
国民健康保険の加入手続きに必要な書類は以下の通りです。
書類名 | 概要 |
---|---|
健康保険資格喪失証明書 | 以前加入していた健康保険(会社の健康保険など)の資格を喪失したことを証明する書類 |
本人確認書類 | 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど |
マイナンバー確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーが記載された住民票など |
印鑑 | 認印で可 |
預金通帳またはキャッシュカード | 保険料の口座振替を希望する場合 |

必要な書類が多くて大変だな…

事前に市区町村のウェブサイトで確認しておくと、スムーズに手続きできます。
保険料:前年の所得や家族構成で変動
国民健康保険料は、前年の所得や家族構成、お住まいの市区町村によって異なります。
所得割、均等割、平等割などの要素を組み合わせて計算されるため、一概にいくらとは言えません。
保険料の計算方法や具体的な金額については、お住まいの市区町村の窓口やウェブサイトで確認するようにしましょう。
注意点:扶養の概念がない
国民健康保険には、扶養という概念がありません。
そのため、被扶養者がいる場合でも、その人数分の保険料がかかります。
たとえば、会社を退職して国民健康保険に加入した場合、配偶者や子供の保険料も合わせて支払う必要があります。
任意継続:加入条件・手続き・保険料
退職後の健康保険として任意継続を選択する場合、加入条件、手続き、保険料について理解しておくことが重要です。
任意継続は、退職後も会社の健康保険に加入できる制度ですが、加入条件や保険料などが異なります。
任意継続について、加入条件、手続き、保険料、注意点をまとめました。
手続きをスムーズに進めるために、該当箇所をしっかり確認しましょう。
加入条件:退職日までに2ヶ月以上加入
任意継続に加入するには、退職日までに継続して2ヶ月以上、健康保険に加入している必要があります。
2ヶ月の加入期間は、正社員だけでなく、アルバイトやパートの場合も含まれます。
加入条件は以下の通りです。
項目 | 条件 |
---|---|
加入期間 | 退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること |
申請期間 | 資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に申請すること |
その他 | 75歳未満であること |

2ヶ月の加入期間が短いけど、どうしても任意継続したい…

加入条件を満たしていない場合は、国民健康保険への加入を検討しましょう。
手続き:20日以内に健康保険組合へ申請
任意継続の手続きは、退職日の翌日から20日以内に、加入していた健康保険組合へ申請する必要があります。
申請が遅れると、任意継続に加入できなくなるため注意が必要です。
手続きの流れは以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
1. 申請書類の準備 | 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書を健康保険組合から入手し、必要事項を記入します |
2. 申請書類の提出 | 健康保険組合へ申請書を郵送または持参します |
3. 保険料の納付 | 健康保険組合から送付される納付書に従い、保険料を納付します。納付期限は、申請書提出後、約1ヶ月後です。保険料は原則として毎月納付する必要があります |
必要書類:健康保険任意継続被保険者資格取得申請書
任意継続の申請には、健康保険任意継続被保険者資格取得申請書が必要です。
申請書は、加入していた健康保険組合のホームページからダウンロードできる場合や、健康保険組合に連絡して郵送してもらうことも可能です。
申請に必要な書類は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
申請書 | 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書 |
本人確認書類 | 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど |
退職を証明する書類 | 離職票、退職証明書など |
保険料:在職時の約2倍
任意継続の保険料は、原則として在職時の約2倍になります。
在職中は会社と被保険者で保険料を折半していましたが、任意継続になると全額自己負担になるためです。
保険料は以下の計算式で算出します。
保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率
注意点:最長2年間のみ加入可能
任意継続は、最長2年間のみ加入可能です。
2年経過後は、国民健康保険への切り替えや、家族の健康保険の扶養に入るなどの手続きが必要になります。
注意点は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
加入期間 | 最長2年間 |
保険料の支払い | 滞納すると資格を喪失する |
資格喪失 | 就職して他の健康保険に加入した場合や、後期高齢者医療制度の対象となった場合、保険料を滞納した場合など、資格を喪失します |
保険料の変更 | 途中で保険料が変更される場合がある |
家族の扶養に入る:加入条件・手続き・保険料
健康保険の扶養に入ることは、保険料の自己負担をなくせる魅力的な選択肢です。
ただし、加入には年収や家族構成などの条件があり、手続きも必要です。
加入条件:年収130万円未満かつ家族の半分未満
扶養に入るための条件は、主に収入と家族の収入との関係によって決まります。
収入が一定額以下であり、かつ家族の収入の半分未満であることが求められます。
項目 | 条件 |
---|---|
年収 | 130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満) |
収入 | 扶養者の年収の半分未満 |
その他 | 被扶養者の年間収入が、扶養者の収入を超える場合は認められない |
手続き:家族の健康保険組合に申請
扶養に入るためには、家族が加入している健康保険組合への申請が必要です。
手続きは、家族が行うことになります。
項目 | 内容 |
---|---|
申請先 | 家族が加入している健康保険組合 |
申請者 | 扶養者(家族) |
手続き方法 | 健康保険組合によって異なるため、事前に確認 |
必要書類:健康保険被扶養者(異動)届
申請には、健康保険被扶養者(異動)届などの書類が必要です。
必要書類は、健康保険組合によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
健康保険被扶養者(異動)届 | 健康保険組合が指定する申請書 |
収入を証明する書類 | 源泉徴収票、非課税証明書など |
本人確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証など |
その他 | 健康保険組合によって異なるため、事前に確認 |
保険料:自己負担なし
扶養に入ることができれば、保険料の自己負担は発生しません。
これは大きなメリットです。
項目 | 内容 |
---|---|
保険料 | 自己負担なし |
保険給付 | 保険診療が受けられる |
注意点:年収130万円以上で扶養から外れる
扶養に入っていても、年収が130万円以上になると扶養から外れてしまいます。
年収が130万円を超える見込みがある場合は、別の健康保険への加入を検討する必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
扶養から外れる条件 | 年収が130万円以上になった場合 |
外れた場合の対応 | 国民健康保険への加入、または任意継続被保険者制度の利用などを検討 |
家族の扶養に入ることは、保険料の負担を軽減できる一方で、収入の制限や手続きが必要です。
ご自身の状況を考慮し、最適な選択肢を選びましょう。
健康保険切り替え:選択肢の比較とおすすめ
退職後の健康保険の選択は、将来の安心を左右する重要な決断です。
自身の状況に最適な選択肢を見つけるためには、各制度の特徴を理解し、比較検討することが不可欠です。
それぞれの健康保険制度には独自のメリットとデメリットがあります。
以下では、各選択肢の概要と、どのような人におすすめできるかを解説します。
この情報を参考に、自分にとって最適な選択肢を見つけましょう。
国民健康保険:保険料を抑えたい人向け
国民健康保険は、市区町村が運営する公的医療保険制度です。
他の健康保険に加入できない自営業者や無職の方が加入するのが一般的で、前年の所得に応じて保険料が決定します。
国民健康保険の保険料は、前年の所得や家族構成によって変動するため、所得が低い場合は任意継続よりも保険料が安くなることがあります。
ただし、国民健康保険には扶養という概念がないため、家族が多い場合は保険料が高くなる可能性がある点に注意が必要です。

国民健康保険に加入すると、保険料はいくらくらいになるのかな?

お住まいの市区町村の国民健康保険料の計算方法を確認してみましょう。
任意継続:手続きを簡単に済ませたい人向け
任意継続は、退職後も引き続き会社の健康保険に加入できる制度です。
退職日までに継続して2ヶ月以上、会社の健康保険に加入していた方が対象で、退職日の翌日から20日以内に手続きを行う必要があります。
任意継続の保険料は、原則として在職時の約2倍になりますが、手続きが比較的簡単で、給付内容も会社の健康保険と同等であるというメリットがあります。
また、扶養家族が多い場合は、国民健康保険よりも保険料が安くなることもあります。

任意継続の手続きって難しそうだけど、簡単にできるのかな?

加入していた健康保険組合のウェブサイトで申請書をダウンロードして、必要事項を記入して郵送すればOKです。
家族の扶養:保険料負担をなくしたい人向け
家族の扶養に入ることは、最も手軽に保険料負担をなくせる選択肢です。
年収が130万円未満で、かつ家族の年収の半分未満である場合に、家族の健康保険の被扶養者になることができます。
扶養に入る場合、保険料の自己負担はありません。
ただし、年収が130万円を超えると扶養から外れ、自分で健康保険に加入する必要があります。
また、家族の加入している健康保険組合によっては、扶養に入るための条件が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

家族の扶養に入るには、どんな条件があるのかな?

一般的には年収130万円未満ですが、健康保険組合によって異なる場合があります。
保険料シミュレーション:事前に確認を
健康保険の選択で後悔しないためには、事前に保険料をシミュレーションしておくことが重要です。
国民健康保険と任意継続では、保険料の計算方法が異なるため、それぞれの制度で保険料を試算し、比較検討することをおすすめします。
国民健康保険の保険料は、お住まいの市区町村のウェブサイトや窓口で確認できます。
任意継続の保険料は、加入していた健康保険組合に問い合わせることで確認できます。
また、ウェブ上には、健康保険料をシミュレーションできるツールも存在します。

保険料をシミュレーションできるツールって、どこにあるのかな?

「国民健康保険料シミュレーション」や「任意継続保険料シミュレーション」といったキーワードで検索してみましょう。
相談窓口の活用:疑問を解消
健康保険の選択で迷った場合は、専門家の意見を聞くことも有効です。
市区町村の窓口や、社会保険労務士などの専門家は、健康保険に関する相談に応じてくれます。
専門家は、個々の状況に合わせたアドバイスを提供してくれるため、自分にとって最適な選択肢を見つけるための手助けとなってくれます。
また、相談窓口では、手続きに関する疑問や不安も解消することができます。

どこに相談すれば、健康保険について詳しく教えてもらえるのかな?

市区町村の窓口や、社会保険労務士事務所などに相談してみましょう。
よくある質問(FAQ)
- 退職後、健康保険の手続きは必ず必要ですか?
-
退職すると、加入していた健康保険の資格を失います。
そのため、国民健康保険、任意継続、家族の扶養のいずれかの手続きを行う必要があります。
手続きを怠ると、医療費を全額自己負担しなければならなくなる可能性があります。
- 国民健康保険に加入する場合、退職後いつまでに手続きが必要ですか?
-
退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で手続きを行う必要があります。
期限を過ぎると、遡って保険料を支払う必要が生じる場合があります。
- 任意継続被保険者制度を利用する場合、退職後いつまでに手続きが必要ですか?
-
退職日の翌日から20日以内に、加入していた健康保険組合に申請する必要があります。
期限を過ぎると、任意継続被保険者制度を利用できなくなるため、注意が必要です。
- 家族の扶養に入る場合、何か手続きは必要ですか?
-
家族が加入している健康保険組合に、被扶養者として認定されるための申請が必要です。
必要な書類は健康保険組合によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
- 退職後、健康保険に加入するまでの間に病院にかかった場合、医療費はどうなりますか?
-
退職後、いずれかの健康保険に加入するまでの間は、原則として医療費を全額自己負担する必要があります。
ただし、後から健康保険に加入した場合、払い戻しを受けられる場合があります。
- 退職後の健康保険について相談できる窓口はありますか?
-
お住まいの市区町村の国民健康保険窓口や、加入していた健康保険組合、社会保険労務士などに相談することができます。
専門家のアドバイスを受けることで、ご自身の状況に最適な健康保険を選択できます。
まとめ
退職後の健康保険選びは、無保険状態を避けるために重要な決断であり、自身の状況に合わせた最適な選択をすることが大切です。
- 国民健康保険、任意継続、家族の扶養という3つの選択肢
- 各選択肢の加入条件や手続き
- 保険料の目安と計算方法
本記事を参考に、ご自身のライフプランや経済状況を考慮して、最適な健康保険を選択し、安心して過ごせるようにしましょう。