自己都合退職｜給付制限を回避する裏ワザ

自己都合退職後の失業保険受給は、給付制限によりすぐには受給できないとお悩みではありませんか？ この期間中は収入がなく、生活費の不安を感じる方もいるかもしれません。

この記事では、給付制限を回避するための2つの裏ワザを詳しく解説します。

特定理由離職者に該当する場合と、令和7年4月以降に教育訓練給付制度を活用する場合です。

これらの方法を知っておくことで、給付制限を回避し、早期に失業保険を受給できる可能性があります。

この記事でわかること

自己都合退職、給付制限を回避する裏ワザ

自己都合退職後の失業保険受給には通常、給付制限が伴いますが、特定理由離職者に該当するか、令和7年4月以降に教育訓練を受けることで、給付制限を回避できる可能性があります。

給付制限を回避する方法として、特定理由離職者としての認定や教育訓練給付制度の活用が考えられます。

それぞれの詳細について、以下で具体的な条件や手続きを解説します。

給付制限回避の重要ポイント

給付制限とは、自己都合退職の場合に失業保険の受給が一定期間制限される制度のことです。

この期間中は失業保険が支給されないため、生活費の確保が難しくなる可能性があります。

給付制限を回避するための重要なポイントは以下のとおりです。

ポイント	内容
特定理由離職者に該当するか確認	病気や家族の介護など、やむを得ない理由で退職した場合、特定理由離職者として認められる可能性があります。
教育訓練給付制度の活用	令和7年4月以降に、厚生労働省が指定する教育訓練を受講することで、自己都合退職であっても給付制限が解除される場合があります。

給付制限の定義と影響

給付制限とは、自己都合退職の場合に、失業保険の受給開始が遅れる期間のことです。

通常、自己都合退職では、7日間の待機期間に加えて1～3ヶ月の給付制限期間が設けられます。

給付制限期間中は、失業保険が支給されないため、以下の影響が考えられます。

影響	内容
経済的な負担	失業中の生活費を自己負担する必要があるため、経済的な負担が増加します。
就職活動への影響	給付制限期間中は収入がないため、焦って就職先を決定してしまう可能性があります。
スキルアップの機会損失	給付制限期間中は経済的な理由から、スキルアップのための学習や訓練を受けることが難しくなる可能性があります。

特定理由離職者としての給付制限回避策

自己都合退職であっても、特定理由離職者に該当する場合は給付制限を回避できる可能性があります。

特定理由離職者とは、やむを得ない理由で離職した人を指し、ハローワークでその理由が認められると、給付制限なしで失業保険を受給できる場合があります。

ここでは、特定理由離職者の定義、該当理由と証明方法、ハローワークでの手続きについて解説します。

特定理由離職者に該当する可能性がある場合は、必ず確認しましょう。

特定理由離職者の定義

特定理由離職者とは、正当な理由のある自己都合退職者のことです。

倒産や解雇などの会社都合による離職者（特定受給資格者）に準じて、早期に失業給付を受けられる場合があります。

特定理由離職者として認められるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

要件	内容
期間の定めのある労働契約の満了	契約更新を希望したにもかかわらず、更新されなかった場合や、労働条件が著しく低下したために退職した場合などが該当します。
正当な理由のある自己都合退職	病気やケガ、家族の介護、事業所の移転など、やむを得ない理由で退職した場合が該当します。

該当理由と証明方法

特定理由離職者に該当する理由には、いくつかの種類があります。

理由	具体例	証明方法
体力不足、心身の障害、疾病	医師の診断書などにより、就業が困難になった場合	医師の診断書、健康診断の結果など
家族の疾病、負傷、死亡等により、看護が必要になった場合	家族の介護が必要になった場合	医師の診断書、介護保険に関する書類など
会社の事業所の移転により、通勤が困難になった場合	通勤時間が往復4時間以上になった場合など	会社の事業所移転に関する通知、通勤経路・時間に関する証明書など
労働契約内容と実際の労働条件が著しく異なる場合（賃金低下、残業時間の増加、ハラスメント等）	賃金が大幅に減額された、事前に説明されていた以上の残業を強いられた、上司からパワーハラスメントを受けたなど	労働契約書、給与明細、タイムカード、ハラスメントに関する記録や証言など
その他、やむを得ない個人的な事情がある場合	配偶者の転勤、結婚、育児など	配偶者の転勤辞令、結婚を証明する書類、出生証明書など

ハローワークでの手続き

特定理由離職者として失業給付を受けるには、ハローワークでの手続きが必要です。

手続き	内容
離職理由の申告	ハローワークに離職票を提出する際に、離職理由を詳しく申告します。
理由を証明する書類の提出	上記の表にあるような、離職理由を証明するための書類を提出します。
ハローワークの調査	ハローワークは、提出された書類や事業主からの情報に基づいて、離職理由が特定理由離職者に該当するかどうかを判断します。
受給資格の決定	離職理由が特定理由離職者に該当すると認められた場合、受給資格が決定されます。
雇用保険説明会への参加	受給に関する説明会に参加し、失業保険の受給要件や手続きについて説明を受けます。

特定理由離職者として認められるかどうかは、ハローワークの判断によります。

ご自身の状況を詳しく説明し、必要な書類を揃えて、丁寧に手続きを進めましょう。

教育訓練給付制度を活用した給付制限解除

通常、自己都合退職の場合、失業給付には1～3ヶ月の給付制限が課されますが、教育訓練給付制度を活用することで、この給付制限を解除できる可能性があります。

この制度は、失業者の再就職を支援するためのもので、一定の条件を満たす教育訓練を受講することで、給付制限が免除される場合があります。

自己都合退職後の給付制限を回避するために、教育訓練給付制度の活用を検討することは非常に有効な手段です。

以下では、教育訓練給付制度の概要、対象となる教育訓練の種類、受給要件と申請手順、そして厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムについて詳しく解説します。

教育訓練給付制度の概要

教育訓練給付制度とは、雇用の安定と再就職の促進を目的とした制度で、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した際に、その費用の一部が支給される制度です。

この制度は、自己都合退職による給付制限を受けている人が、早期に再就職するために必要なスキルや知識を習得することを支援します。

対象となる教育訓練の種類

教育訓練給付制度の対象となる教育訓練は、厚生労働大臣が指定したもので、専門的なスキルや知識を習得できる講座やコースが中心です。

これらの教育訓練は、大きく分けて3つの種類があります。

種類	内容	給付率	上限額
一般教育訓練給付金	雇用保険の被保険者期間が3年以上の方が対象。簿記、情報処理、介護、TOEICなどの講座が該当	受講費の20%	10万円
特定一般教育訓練給付金	雇用保険の被保険者期間が3年以上の方が対象。専門資格取得やスキルアップを目指せる講座が該当	受講費の40%	20万円
専門実践教育訓練給付金	雇用保険の被保険者期間が10年以上の方が対象。看護師や保育士、MBAなどが該当	受講費の70%	年間56万円

厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムで、自身が希望する分野の講座が対象となっているか確認しましょう。

受給要件と申請手順

教育訓練給付金を受給するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

厚生労働省の教育訓練給付制度検索システム

厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムは、教育訓練給付金の支給対象となる講座を検索できる便利なツールです。

このシステムを利用することで、自身が興味のある分野やスキルアップしたい分野の講座が、給付対象となっているかどうかを簡単に確認できます。

この検索システムでは、講座の種類、地域、キーワードなどから検索できます。

希望する講座を見つけたら、詳細情報を確認し、受給要件を満たしているかどうかを確認しましょう。

給付制限に関する注意点と確認事項

給付制限は、自己都合退職後に失業保険をすぐに受給できない期間のことで、生活に大きな影響を与える可能性があります。

給付制限を回避するためには、離職理由の確認、ハローワークへの相談、最新情報の収集が不可欠です。

給付制限に関する注意点と確認事項を把握することで、受給資格を正しく理解し、不利益を避けることが可能です。

以下に、重要なポイントをまとめましたので、確認していきましょう。

離職理由の確認

離職理由の確認は、給付制限の有無を判断する上で非常に重要で、自己都合退職と会社都合退職では扱いが大きく異なります。

離職理由によっては、給付制限が適用されずにすぐに失業保険を受給できるケースがあります。

自己都合退職の場合、原則として給付制限が課せられますが、特定理由離職者に該当する場合は例外です。

特定理由離職者とは、病気やケガ、家族の介護などやむを得ない理由で退職した人を指します。

離職理由	給付制限
自己都合退職	あり
会社都合退職	なし
特定理由離職者（自己都合退職）	なし

ハローワークへの相談

ハローワークへの相談は、給付制限に関する疑問や不安を解消するために不可欠で、専門家からのアドバイスを受けることで、自身の状況に合わせた適切な対応策を見つけることができます。

ハローワークでは、個別の状況に応じて給付制限の有無や受給資格について詳しく説明してくれます。

また、求職活動のサポートや職業訓練の案内も行っており、再就職に向けた支援を受けることが可能です。

最新情報の収集

失業保険に関する制度は頻繁に改正されるため、最新情報を常に収集することが重要で、特に給付制限に関する情報は、受給資格に大きく影響する可能性があります。

厚生労働省やハローワークのウェブサイトでは、最新の制度改正や給付に関する情報が提供されています。

これらの情報を定期的に確認することで、ご自身が不利にならないように注意しましょう。

早期受給に向けた行動

自己都合退職後の給付制限を回避し、早期に失業給付を受給するためには、自身の状況を正確に把握し、計画的に行動することが重要です。

ハローワークを有効活用することで、専門家のアドバイスを受けながら、スムーズな手続きを進められます。

以下では、具体的な行動指針を説明していきます。

ぜひ参考にしてください。

自身の状況確認

まずは、自身が給付制限の対象となるかどうか、特定理由離職者に該当するかどうかを確認しましょう。

特定理由離職者に該当する場合、給付制限なしで失業保険を受給できる可能性があります。

該当するかどうかは、以下の要素を考慮して判断してください。

項目	内容
離職理由	病気、家族の介護、会社の倒産など、やむを得ない理由で退職した場合に該当
離職時の状況	労働条件の悪化、ハラスメント、事業所の移転など、自己都合とは言えない状況で離職した場合に該当
証拠書類	離職理由を証明できる医師の診断書、介護証明書、会社の証明書などがあると有利

計画的な行動

給付制限を回避するための行動は、退職前から計画的に進めることが重要です。

令和7年4月以降に教育訓練給付制度を活用する場合、対象となる教育訓練の種類や受給要件を事前に確認し、計画的に学習を進める必要があります。

スムーズな給付制限回避のため、退職前から以下の行動を意識しましょう。

行動	内容
情報収集	厚生労働省やハローワークのウェブサイトで最新情報を収集する
相談	ハローワークに事前に相談し、自身の状況に合わせたアドバイスを受ける
スケジュール	教育訓練給付制度を利用する場合、受講開始時期や申請手続きのスケジュールを立てる
書類準備	離職票、マイナンバーカード、預金通帳など、必要な書類を事前に準備する

ハローワークの有効活用

ハローワークは、失業給付に関する相談や手続きをサポートしてくれる重要な機関です。

給付制限に関する疑問や不安がある場合は、積極的にハローワークを活用しましょう。

ハローワークでは、以下のようなサポートを受けることができます。

サポート内容	詳細
個別相談	専門の相談員が、個別の状況に合わせてアドバイスをしてくれる
職業訓練	スキルアップのための職業訓練を受講できる（一定の条件を満たす必要あり）
求人情報	豊富な求人情報を提供してくれる
セミナー・説明会	失業給付や求職活動に関するセミナーや説明会に参加できる

ハローワークを有効活用し、早期受給を実現しましょう。

よくある質問（FAQ）

自己都合退職でもすぐに失業保険をもらうことはできますか？

自己都合退職の場合、通常は給付制限が適用されます。

しかし、特定理由離職者に該当する場合や、令和7年4月以降に教育訓練給付制度を利用して厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講した場合は、給付制限が解除される可能性があります。

特定理由離職者とはどのような人を指しますか？

特定理由離職者とは、正当な理由のある自己都合退職者のことです。

例えば、病気やケガ、家族の介護、事業所の移転などが該当します。

特定理由離職者として認められるには、ハローワークでの手続きが必要です。

教育訓練給付制度とは何ですか？

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した際に、その費用の一部が支給される制度です。

この制度を活用することで、自己都合退職による給付制限を受けている人が、早期に再就職するために必要なスキルや知識を習得できます。

教育訓練給付制度を利用する場合、どのような講座が対象になりますか？

教育訓練給付制度の対象となる教育訓練は、厚生労働大臣が指定したもので、専門的なスキルや知識を習得できる講座やコースが中心です。

厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムで、自身が希望する分野の講座が対象となっているか確認できます。

給付制限について相談できる窓口はありますか？

給付制限に関する疑問や不安がある場合は、ハローワークに相談することをおすすめします。

ハローワークでは、個別の状況に応じて給付制限の有無や受給資格について詳しく説明してくれます。

失業保険に関する最新情報はどこで確認できますか？

厚生労働省やハローワークのウェブサイトでは、最新の制度改正や給付に関する情報が提供されています。

これらの情報を定期的に確認することで、ご自身が不利にならないように注意しましょう。

まとめ

自己都合退職後の給付制限は、特定理由離職者に該当する場合や令和7年4月以降に教育訓練給付制度を活用することで回避できる可能性があります。

ご自身の状況を把握し、計画的に行動することが重要です。

まずはハローワークに相談し、専門家のアドバイスを受けながら、スムーズな手続きを進めていきましょう。